名古屋市では、今年の夏に、「性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)など性別にかかわる市民意識調査」が実施され、12月17日に報告書が公表されました。この調査は、無作為抽出で選ばれた18歳以上の市民1万人を対象とした調査であり、大変貴重なデータです。
■調査報告書はこちらから(外部リンク)
性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)など性別にかかわる市民意識調査報告書
PROUD LIFEでは、この調査結果をふまえて、12月25日に以下の要望書を名古屋市に提出しました。
平成30年12月25日
名古屋市長 河村たかし 様
性的少数者に対する支援施策に関する要望書
NPO法人PROUD LIFE
代表理事 安間 優希
性的少数者(セクシュアル・マイノリティ、LGBT)に対する社会的関心が大きく広がる中、本年度名古屋市においても、「性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)など性別にかかわる市民意識調査」が実施され、先日報告書が公表されました。
本調査は、無作為抽出の18歳以上の市民1万人を対象とした大規模なもので、5割近い回答を得た大変貴重なデータです。回答者の中で、「性的少数者の当事者である」と答えた76名のデータについても、インターネット利用者やコミュニティ活動の参加者などといった特定の偏りが少ないデータであり、他に類を見ない貴重な資料となると考えられます。
このような貴重な調査結果を元に、性的少数者に関する施策を具体化し実施・推進していくことが必要です。特に以下の点に留意することをお願いします。
1、「性的少数者に対する意識啓発や支援」について、「必要ない」と回答した市民はわずか4.6%であり、大多数の市民は、何らかの意識啓発や支援が必要だと考えています。性的少数者に関する施策を調査検討の段階から施策実施の段階へと引き上げ、着実な施策の推進をお願いします。
2、「性的少数者に対する意識啓発や支援」について、調査結果からニーズが高いと考えられる以下の施策の実施について、市として具体化をすすめてください。
①市民のうち7割が「相談できる窓口の設置」を必要と考え、5割が「気持ちや情報を共有できる居場所づくり」の必要性を認識しています。また、当事者の2割が「周りに相談できる人がいない」と答え、5割が「相談できる窓口の設置」「気持ちや情報を共有できる居場所づくり」を求めています。当事者への心理的サポート等の相談支援の重要性について、当事者を含む市民の認識が共有されています。速やかにこれらの事業を具体化・実施してください。
②同性同士のパートナーシップの「証明書等の発行」「法律上の夫婦や家族と同等に扱うこと」、「いじめや差別を禁止する法律や条例の制定」等の項目は、特に当事者の中で高いニーズが示されています。制度の実現と市民への周知・啓発をすすめてください。
③「トイレ・更衣室、制服などに対する配慮」は当事者のニーズの高い項目であり、地下鉄駅やスポーツセンター等の市民利用施設、市立学校等、市営施設について市が率先してこれらの配慮を実施してください。
④「性的少数者に関する人権上の課題」については、当事者を含む市民において「就職・職場で不利な扱いを受ける」「学校や職場でいじめにあう可能性がある」との回答が多く、企業等に対する啓発や幼少期からの教育等も重要な施策であり、引き続き推進してください。
以上
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