マイナンバー制度で要望書を名古屋市に提出

PROUD LIFEは、9月14日、名古屋市に対し、マイナンバー制度に関する要望書を提出しました。

今年10月から運用が開始するマイナンバー制度は、税や年金のための個人番号を、雇用されている事業所に知らせることが義務付けられていますが、個人に発行されるマイナンバー通知カードには、住所、氏名、生年月日、戸籍上の性別が明記されています。

このため、戸籍上の性別を隠して就労している性同一性障害の当事者にとっては、事業所に戸籍上の性別を知られてしまうこととなり、就労の継続が困難な事態も生まれます。

今回の要望書では、マイナンバー通知カードの上から貼ることが出来る保護シールを名古屋市が独自に発行し、希望する人はそのシールを貼ることで、性別を知られる事なく事業所にマイナンバーを伝える事ができるように求めています。

PROUD LIFEでは、自治体が独自の様式で通知カードを作成することなどについて検討してきましたが、マイナンバー制度は法律で定められた事務のため困難と考えられてきました。しかし、保護シールを作成することは、法律上可能ではないか、と考え今回の要望書提出となりました。

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要望書を提出した安間優希代表理事は、「戸籍上の性別を隠して働いている人は、少なくない。マイナンバー制度によって失業者が生み出されることがないよう、対応を検討していただきたい」と求めました。対応した名古屋市市民経済局の地域振興部住民課長は、「法律上可能かどうかも含めて検討したい」と答えました。

提出した要望書の全文は、下記の通りです。

 

平成27年9月14日

名古屋市長 河村たかし 様

性同一性障害に係るマイナンバー制度運用についての要望書

                                 NPO法人PROUD LIFE

代表理事 安間 優希

性同一性障害とは、戸籍の性別と心の性別(性自認)が一致しない状態のことで、平成15年に成立した「性同一性障害特例法」によって戸籍上の性別を変更した人は、平成26年までに5000人に上っています。しかし、性別適合手術を施すことや未成年の子がいないことなどの要件を満たすことができず、外見と異なる戸籍上の性別のまま生活をしている性同一性障害当事者は、その何倍も存在しているといわれています。

こうした中、平成26年5月に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が成立し、いわゆるマイナンバー制度が導入されることとなりました。マイナンバー制度では、税や年金のための個人番号を、雇用されている事業所に知らせることが義務付けられており、個人に発行される住所、氏名、生年月日、戸籍上の性別が明記されたマイナンバー通知カードを事業所に提出することとなります。

しかし、戸籍上の性別を雇用先事業所に秘匿しながら就労している性同一性障害当事者も多く、マイナンバー制度が実施されると、就労を継続することが困難になります。

つきましては、マイナンバー制度実施にあたり、下記のことを実施していただけますよう要望いたします。

1、 マイナンバー通知カードの性別等を隠すための保護シールを作成するなど、プライバシーを保護するための市独自の対策をとること。

2、 戸籍上の性別が、プライバシーにかかわる事項であることを周知するとともに、マイナンバー制度実施にあたり、性同一性障害当事者等が、戸籍上の性別と外見との違いによる不利益を被らないよう、市内事業所に対して指導すること。

以上