9月13日(金)、在名古屋米国領事館/アメリカンセンター、公益財団法人愛知県国際交流協会の主催で講演会が行われ、全米最大のJGBT人権団体であるヒューマン・ライツ・キャンペーン(以下HRC)で法務部長を務めているブライアン・モールトン氏が講師をされました。
HRCはワシントンに拠点を置き全米にネットワークを持ち、会員200万人という規模の大きさです。
アメリカの人口が日本の約2.5倍ですから、単純に日本の人口で比較すると約80万人が支援している団体ということになります。
日本のLGBT団体と比較しますと、とても大きな団体なのだなということを思いました。
講演では、最近LGBT市民の平等実現に向けた動きが盛んなアメリカにおける戦略及び戦術を話されました。
HRCでは政治/文化二つの観点から戦略を取り、広く理解を求めるために当事者はもちろん、一般市民に受け入れられるようなアプローチを行っているそうです。
アメリカではここ10年で様々な分野における有名人のカミングアウトをきっかけにLGBTの可視化が進み、オバマ大統領の二期目就任演説やLGBT権利向上政策、記憶に新しいDOMA違憲判決やプロポジション8却下報道を背景に、WEBやSNS、パレード、個別訪問、ノベルティグッズなどを使って市民のLGBT理解と権利向上の浸透を図っています。
特にHRCロゴをツイッターやフェイスブックロゴにしましょうというキャンペーンは実際に自分でもやってみたり、目にされたりした人も多いのではないでしょうか。
他にも、メディアに発信する内容及び発信者の精査、国際・政治・労働・宗教各団体との連携、LGBTに賛同する著名人によるビデオクリップの制作配信を行っています。
また、一つのアプローチがうまくいかなかったり進行が遅い場合、ほかの方面や方向からのアプローチを試みることにより、より多様で幅広い層にメッセージを効果的に伝えられるよう努めているそうです。
特に選挙を重要だと考え、有権者に訴えかけるために、議員のLGBT関連立法の動きについて”通信簿”を制作しているそうです(日本でも選挙前に政党に対しLGBTに関する政策のアンケートを行い発表してる団体がありますね)。その他、職場・病院・学校・宗教団体内の規則チェックも行っているそうです。
また企業を使ったアプローチを積極的に行っており、具体的には同性婚キャンペーン、ロビー活動、プロポジション8がいかに企業にとって悪影響を及ぼすかといったレポートを作成してもらってりしているそうです。
変化に向けた動きが比較的スローな政治に比べ、企業へのアプローチは迅速な対応が得られるとのことでした。
講演終了後、様々な方から質問が寄せられ、LGBTを支援することや同性同士の親による教育、生殖に関する質問といった一般的/全般的なものから、当事者によるエンパワメントに関する具体的な質問まで幅広く寄せられました。
私も質問をしてみましたが、HRCではLGBT支援専門で約150名の常駐職員がいるそうです。とても多いですね。また、ここ最近HRC会員に、当事者でない”理解のある支援者”が増えているそうで、それは広く社会に呼びかけている活動の成果であるのだなと感じました。
夜はレセプションが行われ、交流や情報交換を行いました。
この日はアメリカの人権団体とつながりを持てる非常に貴重な機会でした。ブライアンさん、在名古屋米国領事館/アメリカンセンターの皆様、愛知県国際交流協会の皆様、司会を務められた名古屋第一法律事務所の堀江さん、お疲れ様でした。
ありがとうございました。